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2007年3月

2007/03/31

今,日本橋がアツイ!

昨日,隣の研究室の後輩が巣立っていきました。
それなりの志はあったようですが,辛口なことを言わせてもらえば
彼は研究熱心ではありませんでした。
でも科学に興味を抱くことと科学者になることは必ずしも同じこと
ではないと思います。
彼は科学者以外の道を選びました。
明日から マカロニマン ショーケンマンになります。
彼がどのくらいのビジョンを持って将来を見据えているのかは
分かりませんが,周りの多くの人は賛同しています。
とても「彼らしい」生き方だと思えるのです。

最後の一ヶ月は「不安」とか「寂しさ」のようなネガティブな感情
ばかりが目立っていました。
出会った頃は何を考えているのかよく分からないやつでしたが,
心を許して感情を顕にしてくれるようになったのか,それとも単に
抑えきれないくらい大きな感情を抱いていたのか―
いずれにせよ入社して目の前にやることが山積みされれば
そんな感情もすぐに消えるのでしょう。

二年前,彼が初めて研究室を訪れた日のことを覚えています。
おとなしくて,怯える子羊のようでした。
打ち解けるにつれて,持ち前の企画・行動力を発揮して様々な
イベントを成功させるようになると一気に頭角を現しました。
今や研究室の中心的存在,ムードメーカーにまで登りつめました。
狼にも立ち向かう立派な羊へと成長したのです。
先輩の粋な計らいにより,色紙に二年前とつい最近の集合写真を
寄せ書きと共に並べて貼って渡しました。
さらに二年後,これまで以上の成長を遂げることを願っています。

もう一人,社会復帰した 社会に巣立った人がいます。
向かいの研究室の姐御です。
昨日,向かいの研究室の送迎会に呼ばれてお祝いしてきました。
とりあえず祭が終わってさて,どうしようかと言っているときに
隣の隣の先生が姐御にトラップされたあたりでもう確信しました。
「終電まで飲み」コースはもちろん終電後も続いたのです。

彼女もまた,科学者以外の道を選びました。
東京特許許可局に勤めるそうです。
特許,と言っても完全に科学から離れるわけではなく,生物学
関係の特許に関する仕事をやりたいそうです。
タミフルの特許ネタで先日盛り上がっていました。
とても賑やかな人なので向かいの研究室にいても彼女が来れば
「あっ,来たな」というのがすぐ分かります。
一年前に一緒にカラオケに行ったときにパラパラのようなダンスを
披露していて,そのときの俊敏な手の動きに驚きました。
あの素早いコネコネ感は,手をコネコネしてよく分からないうちに
敵を倒してしまうスティーブン・セガールを彷彿とさせます。
彼女のオリエンタルな服装も今思えばセガールに通じるものが
あります。
彼女のトレードマークでもあるトンボ玉アクセサリー。
最近は自作しているようです。きっとコネコネと手を動かしながら。
来週,一緒に習いに行くことになりました。
目指すはセガールです。

さて,巣立った二人に共通すること。
それは二人とも日本橋勤務なのです!
そしてうちの研究室には日本橋在住の後輩がいます。
なんと隣接した三研究室から日本橋関係者が三人も!
昼飯食ってたらばったり遭遇,なんてこともあるのかしら。
いずれにせよ四月からも二人とも近場に住むことになるし,まだ
研究室に来る用事も残っているし,ということで四月以降も割りと
頻繁に会いそうです。
ぜひまた飲みましょう!
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2007/03/29

ツンデレ図書室

メインの図書館とは別に,研究棟の一角に小さな図書室があります。
司書の方が数人いる程度のこじんまりとした図書室です。
専ら文献の複写依頼のために利用しています。
大学が電子版を契約していないようなマニアックな論文や,そもそも
電子版がない書籍のコピーなどを司書の方が他大学の図書館から
取り寄せてくれるのです。
しかし実は複写依頼というのは世を忍ぶ仮の目的です。
実際には図書室に行く目的の九割は美人司書に会うことです。
なので,どうしてもネットで落とせない論文があったりするとむしろ
嬉しいのです。
お気に入りの司書の方は一見すると性格のキツそうな顔をして
いるのですが(失礼な!)話すととても感じのいい人です。
そのギャップがたまりません。

ところで最近生物学オリンピックなるものの存在を知りました。
数学オリンピックというのは聞いたことがありますがそれの生物版
とでもいうべきものでしょうか。
世界中の高校生が生物学の知識と技術を競うものです。
そしてその日本代表の選考会にスタッフとして知らない間に
組み込まれてしまっていました。
最終選考の実技試験の準備と審査員(?)をやらされました。
皆とても図書室の似合いそうな高校生たちです。
なんとNHKも取材に来ていて全員にインタビューしてました。
四月半ばのクローズアップ現代で放送されるそうです。
関係ないのになんとなくカメラを意識しながらうろちょろしてみました。

さらに先日,最終的に決まった日本代表団の強化合宿がありました。
数日間缶詰で生物と英語の勉強をやらされるのです。
そしてその指導係をやりなさいという上から再三の要求がありました。
冗談じゃない!
断りたい理由:
①そんなにひまじゃないっつーの。
②彼らは851人の中から選ばれた4人のエリート生物オタクです。
ドクターの名誉にかけて,実践的知識と技術では彼らには負けません。
でも生物全般の基礎知識となると,,,
高校で生物を履修せず大学でも遊んでばかりいた私から彼らが教わる
ことなどありましょうか?
押しに弱い私ですが,数日間,毎日五回ぐらいしつこく勧誘されても
断り通しました。
実際指導した人の話では,やはり教えることなどなかったようです。
でもちゃっかり夕食会には参加してきました。
もちろんノンアルコールです,,,主役は高校生ですから。

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2007/03/23

アメリカで政治家が笑うと日本でタミフル

北京で蝶々が羽ばたくとニューヨークで雨が降る―
カオスの説明でしばしば引き合いに出される,「バタフライ効果」
というやつです。
北京で蝶々が羽ばたくことによるわずかな気流の変化が時間
経過とともに副次的な影響を及ぼし,時には遠く離れた地に
雨を降らせることもあり得る,という例え話です。
日本で言うところの「風が吹くと桶屋が儲かる」というやつです。

厚労省が10代の患者へのタミフルの投与を禁止しました。
医療の現場でどう評価されているのかは分かりません。
しかし単純に科学者の目から客観的に見ると,この決定は
あまりにもお粗末で馬鹿げています。
ところで何で日本でこんなにタミフルが普及したのでしょう?

タミフルの独占製造権を持っているのはスイスの会社です。
でも実際に特許を持っているのはアメリカの会社です。
数年前アメリカ政府がタミフルの大量備蓄を始めたとき,その
会社の会長を務めていたのがあの憎たらしい前国防長官です。
アメリカは,政府としてタミフルの大量備蓄を始めました。
タミフルは飛ぶように売れます。
もちろん特許を持っている会社は儲かります。
その会社の会長(現在は大株主)も儲かります。
きっと偶然でしょうけど。

やがてアメリカ政府に続いて日本政府も大量備蓄を始めました。
先述のアメリカ国防長官の在任中のことです。
だから何だ,とは言いませんが。
ついでにもう一つ。
日本では某製薬会社がタミフルを独占販売しています。
その会社には厚労省の職員が天下っています。
だから何だ,とは言いませんが。
ともあれ,日本は,政府としてタミフルの大量備蓄を始めました。
タミフルは飛ぶように売れます。
もちろん特許を持っている会社は儲かります。
その会社の会長(現在は大株主)も儲かります。
きっと偶然でしょうけど。

一説にはタミフルの世界シェアの7割を日本が占めているそうです。
日本は超お得意様です。
日本でタミフルが馬鹿売れして喜ぶのは誰でしょう?
タミフル普及の裏で見え隠れする日米の政治家・官僚・製薬会社―
何だか点と点が線でつながってきましたね。

ただしタミフルをめぐる黒い影と,医療現場でのタミフルの必要性は
全く別の議論です。
先述の通り,今回の厚労省の決定は馬鹿げていると思います。
お役人様の前で,この上なく憎たらしい顔で「ば~か!!」と言って
やりたい衝動を抑えるのに必死です。

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2007/03/21

トイレブラシより紙のほうがいい

久々に映画を見に行ってきました。
久々,といっても前回の「プラダを着た悪魔」以来なのでそれほどでも
ないか??
福岡に住んでいた頃,週に一度は必ずミニシアターに通っていたのを
思えば上京して以来,映画を見る頻度は激減しました。
さて,今回見たのは「プラダ~」でもお馴染みのメリル・ストリープ主演,

今宵、フィッツジェラルド劇場で

メリル・ストリープ主演,というのはあまり正確ではないかも。
登場する全ての人物が見事に噛み合った素晴らしい演出です。
メリル・ストリープの歌のうまさに驚いたのだが(ちょろっと練習して到達
できるレベルではない),元々オペラ歌手を目指していたらしい。納得。
「プラダ~」での彼女の演技はあまり好きではありません。
彼女の持つ人間の深みがあふれ出てしまって「悪魔」を演じきれて
いない気がするのです。
でも「フッツジェラルド」は,はまり役!
「ラスト・サムライ」を見た後に「たそがれ清兵衛」を見たときの,あの
感覚を思い出します(分かりづらいかしら??)。

映画自体は少し難解です。
アメリカ文化,特にカントリーという音楽への理解が十分になければ
100%楽しめないでしょう。
正直に告白すると,前半はほとんどおもしろさを理解できませんでした。
「失敗した」というのが最初の感想。
自分ひとりならまだしも,よりによってデートで見る映画に選んだことを
後悔し,謝罪の言葉を一生懸命考えていました。
音楽の映画でなければ見るのを放棄したかも。。。
が,後半から一気におもしろい展開になります。
特にラストシーン!
以下,少しネタバレです。

ショーが終わり,解体される劇場の中でケヴィン・クラインがピアノを
弾いている―そのままエンドロールへ移行するものだと思いました。
その終わり方が一番いいと思ったのです。
が,終わりませんでした。
大嫌いな「蛇足」だと思ってかなりがっかりしました。
けどその失望感はすぐに撤回!
実際のラストシーンは最高!
近年見た映画の中で最も好きなラストシーンです。
じわじわとこみ上げてくる余韻に浸れる最高の映画でした。

気がかりなのが一つ。
ほんの少ししか出てこない上にとても嫌なやつの役で,あっけなく死ぬ,
踏んだり蹴ったりのトミー・リー・ジョーンズ。
彼は何を演じても,もはや地球を調査しに来ている宇宙人ジョーンズに
しか見えません。
カントリーと言えば日本でいうところの演歌。
フィッツジェラルド劇場の舞台を見つめるトミー・リー・ジョーンズの
横顔を見るとどうしても聞こえてくるのです。
「この惑星の八代亜紀は,泣ける」という彼の声が。

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2007/03/18

3年越しの御上りさん

朝から渋谷に行って並んで買いました!
Suica・PASMO相互利用記念Suicaカード!
限定10万枚だそうです。
昔から弱いのです。限定物に。
そして実は初めてがSuicaを買いました。上京して3年が経ちましたが。
何しろJRには年数回しか乗らないのでそれほどSuicaの必要性を
感じませんでした。
そんな折のPASMOサービス開始に何ヶ月も前から胸躍らせていた
のです。数日前,「Suicaも私鉄で使えるようになる」と知るまでは。
迷ったあげくSuicaを選びました(決め手は限定カード)。
Suicaが私鉄で使えるならPASMOの存在意義がないのでは?
変な意地を張らずにJRと私鉄で仲良く一本化してほしいものです。

今シーズンは20周年だかなんだかで青春18切符が安いそうですね。
神戸の学会に参加するために東京から18切符で一人旅してから
早いものでもう2年半。
久々に18切符の旅に出たいこの頃。
「そんなひまねえよ!」というのが実情です。
旅というほどのこともなく都内の移動ですが,とりあえず明日ちょっと
電車に乗る用事があるので早速Suicaデビュー!
おっかなびっくり,改札にタッチしてみます。

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2007/03/17

陰謀メジロ押し

メジロのことを本気でウグイスだと思って愛でている可哀想な人たちが
けっこう多いらしい。
桜の開花予想を本気で議論する人たちを見るともっと哀れに思う。
予測が外れたぐらいで大袈裟な。
誰が何と言おうと桜は咲くときに咲くのである。
雪も降るときに降る。
東京ではついに初雪を観測。
雪が降った,というほど降ってもいない気がするが。

どうしても腑に落ちないのは,センター試験の日に降った雪はなぜ
「降雪」にカウントされないのか,ということ。
あれは初雪ではないのか?
確かにぱらついた程度だったけどそれなら昨日の「初雪」だって
ほとんど変わらないではないか。
これはきっと陰謀に違いない。
誰かが「暖冬」を印象付けるために「史上最も遅い初雪」を演出して
いるに違いない。
騙されてはいけない。
去年の豪雪を高く棚に上げて今年の暖冬をどうしても地球温暖化と
結び付けたがる,見えざる何者かの魔の手を逃れなければならない。
今こそ隣の研究室の陰謀マニアの出番!
調査お願いします。

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2007/03/15

シャボン玉飛んだ,8000mまで飛んだ

昨日のニュースより。
JAXAによるパラボリックフライトを用いた無重力実験の公募で採用
された東北大学の学生の実験の話。
パラボリックフライト(放物線飛行)については上記のJAXAのサイト
に分かりやすいイメージがあるのでそちらを参照してください。
彼らの実験内容とは,
無重力状態でシャボン玉はどのように割れるのか?
を調べるものである。
そもそもシャボン玉のことをよく理解しておかなければ何のことやら
分からないかもしれない。
地上では重力の影響によりシャボン玉の膜を作っている石鹸水が
下側に偏っていて,上側に比べ下側の膜が分厚くなっていると
言われているらしい。
そのシャボン玉を膨らませていくと,薄い上側の膜から弾けるので
ある(これはあくまで仮説)。
もちろん一瞬のことで肉眼では分からないが。
この現象を確認するには高速カメラが必要。
さて,では無重力状態ではシャボン玉はどのように割れるのか?
図を使わずにこれ以上説明するのはほとんど無意味だし,
かといってわざわざ図を作るのも面倒なので後は皆さんぜひ
想像してみてください。
多くの方の想像を超えた現象が実際には起こるのです。

無重力条件下で割れるシャボン玉を高速カメラで撮影したのは
世界初の快挙らしい。
今までありそうでなかった単純な実験。
たかだかシャボン玉とはいえ案外分かっていないことは多い。
ちょうど最近実験で高速カメラを使っていて,昨日も遊びで水の波紋を
撮影してみようと四苦八苦していたところ。
シャボン玉もおもしろいかもしれない。

ところでこのニュースが気になった理由はもう一つ。
隣の研究室の先生が全く同じ時期に,しかも同じ場所でパラボリック
フライトを体験しに行っているのである。
誰だい,「彼の場合はメタボリックフライトだろ」なんて言ってるのは?
彼は宇宙生物学会に所属しているのでJAXAと何らかのコネを持って
いても不思議ではない。
詳しいことは聞いていないがもしかしたらJAXAのプログラムに便乗
したのかな,と思ってみたり。
無重力(正確にはパラボリックフライトで体験できるのは「無重力」
ではないのだが)体験は見ていると楽しそうである。
しかしジェットコースターの「無重力」感がたまらなく嫌いで,夢の機械・
重力発生装置が開発されるまでは絶対に宇宙には行かないと心に
決めている私としてはパラボリックフライトなんてまっぴらごめんである。

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2007/03/13

この道を通った夜

ちょうど一年経つのですね。
早いものです。
久々に(というほどでもない気がするけど)ある先輩と連絡をとって
みました。
一年前の今頃,彼女が向かいの研究室を去る直前,研究室の
みんなからのビデオレターを作ろうと思い立ち奔走した。
彼女は研究室内で最も研究熱心で研究室滞在時間がとても長く,
秘密裏の撮影は困難を極めた。
とてもスリリングで楽しかったし,当時まだあまり馴染みのなかった
人たちとも仲良くなれたし,とても充実した時期だった。
最後の夜は下北沢で暴れて明け方,駅前で万歳三唱して無事に
送り出したのである。
あれからもう一年。

三月といえば何かと節目の月。
各種クーポン券の有効期限も迫っている。
急いで使わねば。
帰り道にある某カレーチェーン店のサービス券。
大学の裏にあるラーメン屋の「大盛り」サービス券。
スタバの株主優待ドリンクサービス券。

この春は我が研究室では一切異動なし。
一心同体の隣の研究室からは一人去る。
彼がいなくなったら誰に遊んでもらえばいいのか!
去り際に最後の一燃え,ということで彼が第3回3号館祭を企画して
くれた(ちなみに3号館とは我々の研究室がある建物)。
本当は勝手に制定した3号館の日(3月3日)に開催予定だったけど
諸々の事情により来週に。
そもそも3月は毎日3号館の日だ!
ポジティブに。

春になるといつもしみじみしてしまう。
「出会い」の季節,とポジティブにとらえられればいいのだが,どうも
「別れ」の方に執着してしまう。
冒頭の先輩が「ちょっと弱り気味」と言っていたのが心配だが,そんな
ときのために差し上げたビデオレターなのです。
微力ながらもお役に立てれば幸いです。
人の心配ばかりもしていられないので気合を入れて参ります。

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2007/03/09

イカの精子の話

先日三崎の臨海実験所で実習の手伝いをしていたときのこと。
イカの神経(giant axon)を取り出して活動電位を測定するという
神経生理学の古典的な実験を,有志の学生に行わせることに
なっていた。
実際には神経を取り出すのが予想外に難しくて挑んだ数名は
全員失敗してしまったのだが。
実習は実習として,それとは別に個人的な興味で,解剖された
ヤリイカの精巣から精子を取り出して顕微鏡で観察してみた。
ちゃんと顕微鏡と専用の自作カメラを持参していてよかった。

ヤリイカの精子はこんな感じ(対物レンズ40×,位相差)。
上図は全体像。
下図は頭部付近を拡大したもので,1/15秒ごとの連続画像。
Spermatozoon_3

Heads__2
かなり興味深い形をしている。
頭らしき部分の,尻尾(鞭毛)の付け根あたりからヒゲのような
突起が出ている(下図の矢印)。
頭らしき部分,と書いたのは本当に頭なのか少し疑わしいから。
白く光って見える部分が頭のように見えるのだが,下図のように
頭も尻尾の屈曲に合わせて屈曲しているように見える。
尻尾の中には軸糸と呼ばれる特殊な構造があって屈曲運動を
引き起こしているのだが,普通は頭の中には軸糸はない。
この白く光っている部分は哺乳類精子の中辺部(尻尾の根元の
ミトコンドリアが巻きついている部位)のようにも見える。
でもそうすると頭はいったいどこへ?

手元の教科書を調べてもヤリイカの精子は載っていない。
インターネットで調べても見つからない(「イカ」と「精子」で検索
すると別の言葉になってしまう。。。)。
精子の形態に詳しい隣の研究室の先生に聞いてみたが,彼も
ヤリイカの精子は見たことないしよく分からないらしい。
ヤリイカなんてメジャーな生き物なのに意外と苦戦。

同じ海産無脊椎動物でも至極オーソドックスな形をしたウニや
ホヤの精子に比べるとヤリイカはとてもユニークな形である。
実は精子は生物種によって驚くほど多様な形をしている。
単純にオタマジャクシのような形をしているものばかりではない。
有性生殖する生物にとって精子とは自分の遺伝子を残すための
本質的な媒体であり,適応戦略上かなり速いペースで進化する
のは当然といえば当然である。

実物は見たことないが,例えばカニの精子は手裏剣のような形を
しているし,線虫の精子はアメーバのようである。
昆虫の中には,自分の体よりも長い精子を持つものもいる。
ウシの精子は平べったいシャモジのような頭をしているし,マウス
の精子は三日月のような頭をしている。
下の写真は三崎の女王のご厚意によりいただいたイモリの精子
である。
Imori_0002
縮尺はよく分からないが40×の対物レンズ(位相差)ということ
なので上のヤリイカとほぼ同じ縮尺だと思う。
とにかく大きくてインパクトが強い。
尻尾には波動膜と呼ばれるヒダが見える。
これに比べるとヒトの精子はとても貧相に見える。
(これも三崎の女王にいただいた写真;誰から,どうやって採取
したのかは聞きだせず)
Cont_0016_1
精子は外見だけ見ても種によってこれだけ変化に富んでいて
おもしろい。
なんでこんな形になったのか,まさに生命の神秘である。
精子の研究で世界的な権威,毛利秀雄氏(ちなみに先述の
隣の先生の恩師でもある)の「精子の話(岩波新書892)」という
本があり,精子に興味を持った方にはぜひお薦めしたい。
あまり専門的ではないので一般の方にも読みやすいと思う。
生命の奥深さにぜひとも触れてみてください。

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期間限定で精子の動画を公開します。
このページの左にある「Spermovie」からダウンロードしてご覧
ください。
うまくいかない場合は右クリックで「対象をファイルに保存」する
とうまくいく場合があります。
ヤリイカ,イモリ,ヒトの精子が収録されています。
ヤリイカは私が撮影したもので,時間スケールはリアルタイム
ですがあまりよい映像ではありませんのでご了承ください。
イモリとヒトは三崎の女王にいただいたもので,高速カメラで
撮影したものですが時間スケールは不明です。

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2007/03/06

インタープリター不在のテレビ番組

友達のブログより抜粋。
葛飾北斎が宇宙に興味を持ち,彼の絵は実は宇宙と関係が深い,
という話をモチーフにしたプラネタリウムの映画を見た感想だ。

---------------------------------------------
北斎役が言った言葉の
どこまでが実際北斎が言ったことで、
どこまでが脚色なのか、
境界線も分からない!
---------------------------------------------

後半の批判はどれも共感できたが,特に抜粋したこの部分が強く
印象に残った。
というのもつい先日,あるテレビ番組を見たときに私自身も同じことを
思ったから。
その番組は「驚異的な映像」をたくさん集めた特番だった。
そのうち,ヒトが命を授かり誕生するまでの過程を追ったドキュメント
について憤りを抑え切れなかった。

実際に精子を研究している,一般の方から見ればいわば「専門家」
である私から見ても驚異的な映像が多数紹介されていた。
例えばヒトの排卵の瞬間の映像など,どうやって撮ったのか想像も
つかない。
このような映像を交えつつ,受精から出産に至るまでを時系列に
したがってまとめてあった。
素晴らしい映像の数々だった。

では何がいったい不満なのか。
実は驚異的な実写映像の中に,一部CGが使われていたこと。
そしてCGを使っている場面では何の断りもないこと。
何も知らない一般の方が見ればきっと実写と区別がつかない。
例えば精子が卵に向かって泳ぐシーン。
私からすればあんな稚拙なCGはすぐに偽物だと気づくが(精子の形も
泳ぎ方も実物と全く違う),何も知らなければ超小型カメラか何かで
子宮内を撮影したと誤解してもおかしくない。
CGを使った箇所にはちゃんと「これはCGです」と断るべきだ。
どこまでが「事実」でどこからが「脚色」なのかとても分かりづらい。

想像図を事実のように伝えるということは捏造に他ならない。
ついに英科学誌「Nature」に載ってしまった某番組もびっくり。
実際には見えないものを,直感的に(視覚的に)分かりやすく伝える
目的においてはCGは強力なツールだろう。
ただし真実を見失わないように,その使用には細心の注意を払う
必要があると思う。
科学者と一般の方々との架け橋としての役目に興味を持ち始めた
今日この頃。
今年の暖冬と地球温暖化にはどの程度因果関係があるのかしら?

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2007/03/03

焦げた妖精,滑り降りる

暖冬にも負けません。
スキー・スノボに行ってきました。
例年通り周辺の三研究室合同で。
各研究室二名ずつ(研究室代表?)計六名(含・マリオ先生)。
我等がマリオ先生のボルボさんでは五人しか収容できないので
八人乗りのレンタカーを借りて行くことになった。
行きも帰りも私が運転したのだが,なかなか楽しかった。
普段は母親の(一つ前の型の)ヴィッツさんに乗ることが多いので
3ナンバーの走りは心地よい。
しかも最近流行の(?)シーケンシャルAT!
エンジンブレーキをガンガンに利かせられたりして,山道の走行が
おもしろい。
若干調子に乗ってました,すみません。
助手席のパワハラ女王(今月のキャラ・妖精)の素晴らしいアシスト
も手伝って楽しいドライブでした。

スノボの方はと言うと。。。
出だしからスランプ気味。
なかなか感覚が戻ってこない。
一年前の自分を超えた,と思えたのは二日目の午後になってから。
三日目の朝には飛躍的に上達したと思えるようになったのだが
時すでに遅し,続きはまた来年。
効率悪いなあ。

噂には聞いていたが雪はかなり少なかった。
ゲレンデも一部閉鎖されていて,去年向かいの研究室の姐御に
連れて行かれた上級者コースなんかは草原になっていた。
オープンしていたゲレンデは多分人工雪だろう。
リフトの下辺りは完全に地面が露出していた。
でも日中晴れている間はそれほど問題なく滑れた。
夕方,日が傾いて雪が凍り始めると,さあ大変。
初心者には苦痛の時である。
アイスバーンは滑りにくいし転ぶと痛いので恐怖心が芽生える。
そんな中調子に乗っていたら派手に大転倒。
しかも運悪く服がめくれて素肌を氷にガリガリと削り取られました。
わき腹に痛々しい傷跡。
せっかく温泉に行っても沁みる,沁みる。
体中があちこち痛くてナマケモノのような動きだけれど,今日も
実験がんばります。うぅ。。。

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